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そのキスの代償は……
第6章 その逢瀬
結局そのおとことはうまくいかなかったけど…


物思いの途中で、足首の周りに一瞬ヒヤッとした何か冷たいものが触れる。

一気に意識が躰へと戻ってきて、

私はいつの間にか細い紐のようなもので両手首を軽く拘束され、

ベッドに押し倒されていた。


何度か動かしてみてるがびくともしない。

ゆるく結ばれていて痛くはないが、動くたびにその紐がぴんと張って…

突然自由を奪われて動揺する。

そんなことをしでかしたくせに、側に気配がないのを感じて、

頭を少しだけ持ち上げあの人を探した。


ベッドの下端に頬杖をつき、こちらを嗜虐的な目で見つめている。

「お前、縛られてる間は全くの無抵抗だっだが…

そっちもいけるくちだったか?」

右の眉が上がる…


「ちがう…」

私は否定の言葉を吐きながら、

拘束された両手を振りほどこうと躰全体を左右にねじる。

足のほうで、ジャラジャラっと何かが揺れ動く…


左の足首?何?

私は俯いてそれを視界に入れ…

思わず目を見開く。


さっきまでそこには何もなかったはずなのに、

これはいったい何なの?

どうしてこんなもの…

私はあの人を睨み付けた。
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