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そのキスの代償は……
第6章 その逢瀬
目に入るものを心が受け付けずに、躰が醒め始める。


イヤ…

私は縄を手繰り寄せ、できるだけ体勢を立て直して

その忌まわしいものをつけられた足をゆっくりと引き寄せ

あの人をもう一度はっきりとした意識を持って睨み付けた。


「これで、お前は俺だけのものだ。

これは俺のモノだという証…」


目を細めながら近づいてきたあの人。ベッドを這いながら右手を伸ばし

引き寄せられている左足首にあるアンクレットをそっとひと撫でした。

ジャラ…

不快な音でしかないはずなのに、躰は私の意思に逆らいブルっと震えた。

こんなのいや…


「俺のモノ(所有物)だから右じゃなく左だ」

アンクレットのチェーンに口づけるあの人は

欲情した瞳でこちらに上目使いで視線を投げる。

その姿は…

超絶に艶っぽかった。

これから何をされるのか期待する躰。

でも今夜は気持ちがそれについていけない…

どうしても溺れきれない…

この人は何を考えているのかわからない。

私をどうしたいのだろう?


「右につけて、情事の相手を彷徨い探す必要はもうないだろう?

焦らされるのも、イクのも、果てるのも…

そう、お前の躰すべては俺の意のままだ」

あの人は口角を上げ、ほくそ笑んだ…
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