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そのキスの代償は……
第6章 その逢瀬
縛られたまま勝手に押し付けられた所有の証に

まるで焼きごてを当てるように唇を寄せられて…

濡れてしまう自分の躰に辟易して、奥歯を再びギリッと噛み締めた。

食いしばっても快感が足元からのそのそと這いあがってくる。


ほら…

またぎゅっと下腹部に勝手に力が入って甘い蜜がドロッと滴った。

白い紙に真っ黒なインクがシミをつけていくように、

決して元になんて戻ることのないできない淫靡な感覚が

徐々に躰を侵しながらしみわたっていく。


こんなのはイヤなのに…

でも…

声が…

言葉が…

何も出てこなかった。

悔しかった。


躰につながっているはずの頭が、全くいうことを聞かない。

これじゃまるで虐められることに感じている躰だと思われてしまう…


「この前のこと拗ねてるのか?お前らしくない…

黙ってただ、目の前の躰に溺れてしまえばいいだろう」


そう言ったかと思うと突然膝の下に手を入れられ股を割られた。

大きく開かれたその間からぬっと這いあがってきた顔が

甘い匂いを放つ下の口元に擦り付けられる。

私は抵抗しようと体を捩ってみたが…

手首につけられた紐は従属を示すアンクレットのように

身じろぎすら許さなかった。
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