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そのキスの代償は……
第6章 その逢瀬
掌は腰からすっと離れ、右の耳元に低く囁かれる。
「さすがの相良が、プライベートとはいえ忘れ物をするなんて
本当に不注意だな?」
そう言って耳元にふっと息を吹きかけて、
わざとこっちの意識を朦朧とさせてから右足の付け根あたりを
服の上から一度だけ軽くポンと掌で叩いた。
ジャラ…
ポケットの中で何かが音を立てて鳴った。
さっきまでそこには何も入っていなかったはずなのに…
その音には聞き覚えがある。
急にそこが重くなった気がした…
それから苦いものが込み上げてきて…
ぼんやりする意識を、なんとか頭を振って押しやり
ポケットに手を突っ込んだ。
無機質な細いそれが指先に触れる。
ジャラ…
また嫌な音が耳に入る。
それを手に取ってポケットから乱暴に取出し、目を細めた。
『はあぁ…』
きれいな円を描いて繋がるそれを見て思った。
なんで、切れていないんだろう…
私は確か引きちぎったはずなのに…
新しいものをまた買ったの?
でも、忘れ物って言ったっていうことは…
心からため息がこぼれた。
それはあの人が勝手に押し付けた私を縛る従属のシルシ。
この前は何も言えなかったけど…
今なら…
「さすがの相良が、プライベートとはいえ忘れ物をするなんて
本当に不注意だな?」
そう言って耳元にふっと息を吹きかけて、
わざとこっちの意識を朦朧とさせてから右足の付け根あたりを
服の上から一度だけ軽くポンと掌で叩いた。
ジャラ…
ポケットの中で何かが音を立てて鳴った。
さっきまでそこには何も入っていなかったはずなのに…
その音には聞き覚えがある。
急にそこが重くなった気がした…
それから苦いものが込み上げてきて…
ぼんやりする意識を、なんとか頭を振って押しやり
ポケットに手を突っ込んだ。
無機質な細いそれが指先に触れる。
ジャラ…
また嫌な音が耳に入る。
それを手に取ってポケットから乱暴に取出し、目を細めた。
『はあぁ…』
きれいな円を描いて繋がるそれを見て思った。
なんで、切れていないんだろう…
私は確か引きちぎったはずなのに…
新しいものをまた買ったの?
でも、忘れ物って言ったっていうことは…
心からため息がこぼれた。
それはあの人が勝手に押し付けた私を縛る従属のシルシ。
この前は何も言えなかったけど…
今なら…