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そのキスの代償は……
第6章 その逢瀬
「ふう~」


もう一度大きくため息を吐き出した。

こんな時間でこんな場所なのに肩幅に開いた股の間から蜜が溢れたのが…

湿り気のある下着の冷たさでわかってしまう。


まだ月曜の朝。これから1週間が始まるのに…

今週も与えられた案件を進めるだけで精一杯のはずなのに…

こんなところで、こんなことをして、こんなことになっている自分。

次はまだ遥か先の事。でも連絡があるかどうかはまだわからない。


私は変わってはいけない。

あの人と会った朝も、それまでの何も知らなかった私と

同じでなければいけない…



平常心、平常心。

と何回も心の中で呪文のように繰り返す。

そう、あの人の仕掛ける悪戯のたびに、心の揺れをさらけ出して

誰かに悟られるようなことになってはいけない。

あくまでそんな悪戯をさらりとかわして、

スマートな大人の戯れにしなきゃいけないはず。


あの人はそれを望んでいるはずなのに…

どうしてこんなにもあっさりといちいち掻き乱されてしまうのだろう?


それからドアに背中を預け、しばらく目を閉じて、

この前の自分の淫らな姿態が脳裏の隅に消え、

躰の熱が冷めるまでただ立ち尽くしていた。
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