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そのキスの代償は……
第9章 その躰
[目が覚めたら、内線1001に1コールしてから部屋に来てほしい…]


それは…

昨夜私を放置したあの人からだった。


昨夜の今朝、私があの人の部屋に行っていいのだろうか?

あの人と2人きりで部屋にいてもいいのだろうか?

目が覚めたらって…

受信時刻は3時。3時?

今日も9時から研修がある。あの人は眠ったのだろうか?

何もかもがわけがわからず、何もかもが私の持つ常識では

推し量れなかった。


それでも…

結局私は、あの人から部屋に呼ばれたという甘く危険な誘惑に

逆らうことなんてできなかった。


無意識でお気に入りのスエットの部屋着を着ようとして…

手を止めた。

こんなラフな格好で行ってはいけない。


たぶん…

おそらく…

話があるなら、そんなくつろげるような話にはならないから…

それでも、最後にもう一度なんてありもしない期待をしてみたりもする。

怯える意識の中、そんな淫らな妄想がよぎるだけで、

蜜壺からだらりと己が欲望の証が垂れて濡れてしまう躰。


感情も躰すらコントロールできない自分が恨めしい…

でもそれだけの快感を刻みつけられたことを思い知る。


首を振って気を引き締め直し、化粧をしてストッキングを履き、

明日着ようと思っていたビジネススーツに身を包んだ。
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