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そのキスの代償は……
第1章 プロローグ
午後いちだから…

私は12時50分には会議室に来ていた。

そこにはもちろんまだ誰もいない。

テーブルやイスをすぐに話ができるように並び替えて、

パソコンの電源を入れ、プロジェクターを使えるように段取りする。

こういうことも今では全て私の役割だった…


男性ばかりの職場だから、

細々とした雑用は必然的に女である私の所に回って来た。

私も他の男性社員と同じように案件を抱え、

時にはクライアントと直接交渉をすることもできるだけの責任を

任されていたが、それでも基本定時で帰る社員…

子どもの事で早退や、遅刻することもあり、

保育園の頃には突然休まざるおえなくて迷惑をかけることも多かった…

残っても6時半が私のワークタイムの限界だったから、

独身の頃は断ることもあった雑用事も、

出産して保育園に子どもを預けて働きだした頃からは、

嫌だとは言えず、それが当たり前になっていた。


私はあれからメールチェックだけをして

あの人からもらった資料に目を通し、修正案をなんとか形にして

午後からチームの同僚に説明できるだけの資料を用意したら、

午前中は終わって昼休みが半分すんでいた…
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