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そのキスの代償は……
第1章 プロローグ
同僚のほとんどは13時ギリギリに
駆け込むように会議室に入ってくるだろうから…
私はメンバーの好みの飲み物を用意しながら彼らを待った。
13時の5分前。ガチャっと音がしてドアがこちらに向かって動き、
人影が入ってきた。
それはあの人だった…
あの人は会議の時、他の人より少しだけ早く来る。
管理職だからなのだろうか?
朝も現場に直帰直行でない限り、私より早く…
たいてい1番にデスクについている。
あの人は自分の座る場所に資料とノートパソコン置き、
こちらに向かって歩いてきた。
「できたか?」
「はい…」
ポケットに手を突っ込んだまま、いつも以上に距離を詰めてきた。
メモリーか何か渡されるのだろうか?
私はカップを全ておろして身体をあの人の方に向けた。
その目は…
あの夜のように黒く光っていた。
突然纏う空気を変えたその瞳を目の当たりにして私は
トレーを持ったまま後ずさる。
それなのに、あの人は私を壁際に追い込み、
ポケットに入れていた掌を私の顔の横にバンと突いて
いとも簡単にパーソナルスペースに踏み込んできた。
煙草と混じるフレグランスの匂いが躰を刺激する。
「「今夜限り」だよな?一夜の情事くらいで…
不快だ」
耳元で囁かれたのはあの夜のような甘い睦言ではなく…
拒絶の言葉だった。
駆け込むように会議室に入ってくるだろうから…
私はメンバーの好みの飲み物を用意しながら彼らを待った。
13時の5分前。ガチャっと音がしてドアがこちらに向かって動き、
人影が入ってきた。
それはあの人だった…
あの人は会議の時、他の人より少しだけ早く来る。
管理職だからなのだろうか?
朝も現場に直帰直行でない限り、私より早く…
たいてい1番にデスクについている。
あの人は自分の座る場所に資料とノートパソコン置き、
こちらに向かって歩いてきた。
「できたか?」
「はい…」
ポケットに手を突っ込んだまま、いつも以上に距離を詰めてきた。
メモリーか何か渡されるのだろうか?
私はカップを全ておろして身体をあの人の方に向けた。
その目は…
あの夜のように黒く光っていた。
突然纏う空気を変えたその瞳を目の当たりにして私は
トレーを持ったまま後ずさる。
それなのに、あの人は私を壁際に追い込み、
ポケットに入れていた掌を私の顔の横にバンと突いて
いとも簡単にパーソナルスペースに踏み込んできた。
煙草と混じるフレグランスの匂いが躰を刺激する。
「「今夜限り」だよな?一夜の情事くらいで…
不快だ」
耳元で囁かれたのはあの夜のような甘い睦言ではなく…
拒絶の言葉だった。