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そのキスの代償は……
第9章 その躰
いけない。この淫らな感覚に支配されてしまったら…
私は自らの意思を…
感情を殺さなければならない。
それだけは…
それだけは…
嫌だから…
強引にあの人の方へ顔を向きなおさせられる。
下肢に感じる躰の重み…
これだけしっかり押さえつけられ逃げることは不可能だろうけど…
でも気持ちまで負けたくない。
私はゆっくりと瞼を持ち上げ、意を決してその姿を視界に入れた…
こちらを見下ろす瞳に宿る淫欲の炎。
跨った躰から放たれる邪な欲情の色を瞳から感じて…
身震いした。
でも、二人で会う時に纏う空気とは違う気がする。
いつものように私を捕え、あとは自分の好きなように
弄べばいいだけのはずなのに…
あの人の瞳は、満足しているというよりはどこか哀しげだった。
強引で乱暴なのに、細かい所まで気を回したりする。
要領よく器用で、何もかも手に入れ持ち合わせているはずなのに、
寂しげで投げやりなところもある。
明らかに夫婦関係が上手くいっているようには思えないが…
それでもそれだけが人生の全てじゃない。
私は自らの意思を…
感情を殺さなければならない。
それだけは…
それだけは…
嫌だから…
強引にあの人の方へ顔を向きなおさせられる。
下肢に感じる躰の重み…
これだけしっかり押さえつけられ逃げることは不可能だろうけど…
でも気持ちまで負けたくない。
私はゆっくりと瞼を持ち上げ、意を決してその姿を視界に入れた…
こちらを見下ろす瞳に宿る淫欲の炎。
跨った躰から放たれる邪な欲情の色を瞳から感じて…
身震いした。
でも、二人で会う時に纏う空気とは違う気がする。
いつものように私を捕え、あとは自分の好きなように
弄べばいいだけのはずなのに…
あの人の瞳は、満足しているというよりはどこか哀しげだった。
強引で乱暴なのに、細かい所まで気を回したりする。
要領よく器用で、何もかも手に入れ持ち合わせているはずなのに、
寂しげで投げやりなところもある。
明らかに夫婦関係が上手くいっているようには思えないが…
それでもそれだけが人生の全てじゃない。