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そのキスの代償は……
第10章 その約束
そこまで我慢して欲しかったはずの関係が…

おそらく今日、変わる。

今までの辛さとは種類の違う、多くの後悔と苦い屈辱感を連れて…


「かちょう…」

下着1枚になってもあの人は私を無視し続けた。

背を向けたままゆっくりと残った下着をおろし

全てを脱ぎ捨て全裸になると、こちらに向かって歩いてくる。


そして、ソファーの前に立つあの人。

私はその一か所に目を奪われて見開いた。

その躰の中心では、腹に付かんばかりに起立した雄の杭の先端からは

露が滴り、どくどくと脈打っているのがはっきりと分かった…


その視線にほくそ笑みながら

「コレが欲しいか?」

腰を揺らすと、その杭がよりそそり立ち揺れた…

余裕の表情で見せつけるように裸体を晒し、じっと見つめてくる瞳に…

背筋がぞくぞくした。

「欲しいなら、もっと上手にお願いしてくれないとな…」


あられもない姿で膝を擦り合わせる私に向かって優雅に手を伸ばす…

何をされるのかと思ったら、優しく抱き起しソファーに座りなおさせた。


それから、そのテーブルの前にひらひらと1枚の白い紙を置く。

それは…

もちろんあの契約書で…

口の中に苦いモノが広がった。

全裸でペンを持ち、私に向かって満面の笑みで差し出す姿は…

色欲に狂ったただの雄そのものだった。
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