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そのキスの代償は……
第11章 その朝
「相良君おはよう」

今日も変わらずあの人のデスクにコーヒーを持って行く。

いつものように視線を合わせず、あいさつだけが返ってくる…

私はデスクにコーヒーを置き、他の人のデスクに向かって歩き始めた。


こんなにドキドキしているのは…

いつもいつもそわそわしてしまうのは…

わたしだけなのだろうか?

そう考えると虚しくなる。

周りを見回そうとした時、出勤してきたばかりの同僚に挨拶をされた。

「おはようございます…」

微笑んで挨拶を返す。

頭には『この人はコーヒーで全部入れるだったよね…』

そんなことを考えながら、手に持つ次のコーヒーを運んだ。


朝は全員が出勤するまでこれの繰り返し…

何度か繰り返すうちに、いつの間にか始業時間まであと5分。

全員終ったから、最後に自分の飲み物を用意するために

給湯室に戻っていく…


その時携帯が震えた。

誰だろう?と思いながら給湯室に入ってドアを閉めてから、

携帯をポケットから取り出す。

あの人からだった…

うそ?どうしてこんな時間?

仕事中にメールがあるなんてほとんどなかったのに…

内容を見てしまったら、今日1日仕事をする自信がないので

とりあえず携帯をポケットに戻した。
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