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そのキスの代償は……
第11章 その朝
給湯室から自分の飲み物を持って出ると…

視線の先のデスクには、あの人は座っていなかった。

この時間に席を外しているのは珍しかった。

たぶん喫煙ルームから送ったのだろうか?

今日は出る予定はなかったはず。

それにしても業務中にメールを送るなんて、何を考えているのか…

この頃あの人の行動がさっぱりわからない。


私は、ため息を一つ吐いて自分のデスクに座った。

電源を入れ、パソコンを立ち上げる…

まずはメールチェックからだ。

ゆらゆらと揺れる画面を見ながら、

しばし放心状態になる。

この頃気分を変えようと、自分の分だけ、

スティックの飲み物をランダムでいれている。

今日は抹茶オレ。

この頃甘いものが欲しくて欲しくて…

こんな仕事中ですら、甘いものを躰が欲してしまう。

口に含むと抹茶の香りが鼻に抜けた。

それと同時に舌に甘みを感じ、気分が落ち着く。


あの人と同じ空気を吸っているという事実のせいで、

何気ないことにびくびくして…

疲れ果ててしまう。

仕事に集中しないといけないはずなのに…

今までならもう少しうまく振舞えていたはずなのに…

私はそんなことまで失くしてしまったのだろうか?

自分の醜い肉欲のために…
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