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そのキスの代償は……
第11章 その朝
この前のホテルで、思いっきり凌辱された時の記憶が

躰に蘇ってきて…

ジュッとお腹の奥が反応して、濡れる。

あの時焦らされに焦らされたのが…

キモチよかった。


躰の奥底から湧き上がる欲情を隠し、

何事もなかったように、マウスを動かしてメールチェックを始める。

迷惑メールホルダーを掃除しようと開け、

『かおるからのお願い』という件名を見て、苦いものが込み上げた。


あの時呟いた『かおるぅ~』というその名は、

明らかに昔の女(ひと)なのだろう…


奥様の言っていた『あの人に似た女…』という言葉も引っ掛かった。

課長は私に…

私の向こうに…

何を重ねて、何を見ているのだろうか?

そこに関係のある『あの人』はどんな人だったのだろう?


ここまで深みにはまると…

首を振っても、もう気持ちが切り替わらない。

これ以上集中するのは無理だと思い、抹茶オレを一気に飲み干し、

カップを持って立ち上がった。


給湯室に入り、カップを流しで洗う。

それから…

携帯を手に、しばらく穴が開くほど見つめた。


今見たら…

今日これからどうなるのかわからない。

でも…

見たい。
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