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そのキスの代償は……
第12章 その後の二人
今は何時?

そんなことも考えられない位疲れた…

まだ薄明かりの中、泣き腫らして虚ろな目のまま

ふらふらとベッドで起き上がった。

それから…

ベッドを降りて、真っ直ぐ向かったのはごみ箱で、

ごそごそと紙くずを掻き分け漁って探したのは…

携帯電話。

見つかった時、握り締めそれを見つめる瞳に火がともる。

その後、昨夜見た画面を開き、返信をする。


「り」と入力すると、候補に『了解』が出てきて、

しばらくそのまま茫然とする…

これを打ってしまえば、返信してしまえば…

頭を何度振って、思いとどまるように心がブレーキをかけても、

その行動をいったん止めることはできても

辞めることはできなかった…


もう後戻りできないところまで、私はどっぷりとあの人に

溺れてしまっている。

既に足を洗える、抜け出せる、逃げ切れる場所には居なかったということ。

それに今更はっきりと気が付くなんて…

何と愚かな。自嘲的に笑ってみたが、より自分が惨めになった。


メールを送信しながら、思い知る。

結局私は、あの快感を…

手放せるわけがなかった。

女として得ることのできる醜い肉欲を、自分の理性より選んだ。

あの人の言うとおりに…
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