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そのキスの代償は……
第12章 その後の二人
気持ちと躰を、今できうる限り落ち着かせてから…

席に戻った。


「お帰りなさい…

大丈夫ですか?」

見るからにげっそりした姿で戻れば、吐いたことはお見通しだろう…

湊君が心配そうな瞳でこちらを覗き込みながら声をかけてきた。


さっきのあの妖艶な瞳は私の何かが見せた妄想なのか?

そう思うと関係のない彼を巻き込んだことで余計に罪悪感が沸いた。


「ええ。久々に飲みすぎたかしら?

若い子じゃあるまいに…」

自嘲気味に笑いながら座った。

「なんか相良さんらしくないですね…

いつもと違ってそんなに呑むなんて…」

「湊君…

私だって時には羽目を外したくなる時ってあるのよ?

今夜みたいにね…」

「何かあったんですか?」

「まあね…」


私はそれ以上話したくないとばかりに、

無理やり微笑みながらビールの瓶を持ち、

口を彼に向け注ぐしぐさをした。

彼はスッとコップを掲げ、並々と注いだアルコールを

気持ちよく目の前であおって喉に流し込む。


それを見ながら、自分の前に置かれたコップに無意識で酒を注いだ。

冷たいコップを手にし、口元に持っていこうとすると…

突然手が伸びてきて横取りされた。

そのまま彼はもう一杯一気に煽る。


「相良さん。すきっ腹には少々キツ過ぎませんか?

今日はもうやめた方がいい…」
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