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第2章 その想い

最初出会ったのは、転勤初日のあいさつの時。

その顔を見た瞬間、俺は思わず目を見開き言葉を失った。


もう何度目の転勤だっただろう…

この職種で女性と働くのは二度目だった。

おとなしい性格、なんてことない容姿。

しいて言えば長い豊かな髪が目を引くだけの地味な女。

それなのに仕事は男と同じレベルでデキル奴だった。


できる限り関わらないように…

必要以上に接触しないように仕事をしようと思った。

それなのに、何の因果が彼女が俺の仕事のサポートをすることになって…

そのサポートの絶妙さに気が付いたら彼女を頼るようになっていた。


でも…

変に意識していることを悟られぬよう細心の注意を払った。

俺の中には職場にいるひなの存在が…

その顔を持つひなを毎日見なければならないということが…

苦痛だった。


世の中には３人同じ顔の人間がいると聞いたことはあったが…

そんな話、誰かがでっち上げた都市伝説だろうと思っていた．

だから今までそんな事にお目にかかったことはもちろん一度もない。


そんな奇遇な事が、よりによってほぼ毎日通う職場で起こるなんて…

衝撃を通り越して、残酷な運命に神を呪いたい気分だった。


転勤先の同じ課にいた部下「相良ひな」は、

俺の心に大きな爪痕を残し、ある日突然いなくなったカノジョに…

顔がそっくりな女だった。