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そのキスの代償は……
第12章 その後の二人
視線がねっとりと絡み合う。

舌先が絡む以上に、濃厚な交わりに目だけでイきそうになって…

快感は五感で感じるモノなのだと教えたのはこの瞳だったと思い出す。

想像通り何も身に纏わず立っていたあの人が

ゆっくりと口角を上げこちら向かって歩き始め…

ベッドの淵に膝をかけて、上半身だけ起こした私の躰に跨って、

みたび耳元に顔を寄せ囁いた。


「待っていても、これ以上は何もないぞ?

まずは自分でイッテみせろよ。そばで見ていてやるから…」

私は一瞬言葉の意味が解らなかった…

茫然とする私の躰から、何の未練もないとばかりにスッと降り、

ベッドの足元に胡坐をかいて座った。


「見ろ…

これじゃ使い物にならん」

自分のモノを右手で弄りながら真顔で視線を投げる。

「淫乱な寂しい人妻でも演じてみたらどうだ?

欲求不満で爆発寸前の今のおまえにはぴったりだ」

その言葉に俯く。私はそんなふうに見えるのだろうか…

押さえて我慢することをそんなふうに蔑まれないといけないのだろうか?


「どうせ夜な夜な独りでシてるんだろ?

それだけ敏感な躰がこんな数の逢瀬じゃ足りるはずないだろう。

できないなら、今夜はこのまま独り寝したらいい…」

これは単なる脅しなのか?本気なのだろうか?

困惑する私をよそにあの人は口角を歪ませながら、

ただこちらを見つめるだけだった…
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