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そのキスの代償は……
第12章 その後の二人
暗闇の空気は張りつめ、にらみ合いが続く。

それは互いに譲れないものがあるからこそで…

そこを飛び降りて堕ち、こちらに手を伸ばすあの人と、

堕ちきった越えたと思いながら、

結局何も変わっていなくて変わりたくない私。


でも…

伸びてくる手を取る覚悟をしたからここにいる自分。

どこまでもどこまでも堕ちていく…

堕ちているのにタブーなど必要なのだろうか?

踏みとどまる訳は?

そんなモノ、なにも意味はない…

ここではタブーなんていらない。


まだ…

でも……

もう………

長い間その瞳に囚われながらも…

自問自答した。


そのせめぎ合いの後、私は何もかもを悟ったように諦めて

ゆっくりと1枚1枚服を脱ぎ始めた。

下着姿になり、顔を上げると目の前の全裸の男の右眉がピクリと動く。


「どこでしたらいいですか?」

言葉を一度切り、確かめるように見つめ合った。


「ここ?それとも…「そっちのソファー」」

私はただ頷いてベッドを降りた。

その姿をあの人の鋭い瞳が撫でる…

ぞくぞくっと快感が躰を駆け抜けた。

触れられてさえいないのにこんなふうに感じるなんて…

口角を上げ自嘲気味に微笑んだ。


演じられているだろうか?

堕ちていく悪い女を…

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