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そのキスの代償は……
第13章 その変化
器用に片手でドアを開け、私をバスチェアーに座らせてから、

頭に手を置きゆっくりひと撫でする。


「目つぶって…」

静かに低く囁く声。

でも私は何をされるのかわからず、緊張のあまり躰を強張らせるが…

予想外に、頭に置かれていた掌がもう一度頭頂から髪を梳いた。

その穏やかな空気に、恐々だったが静かに目を閉じた。


しばらくすると躰の横にシャワーを出す音をがして、それが頭上にかかる。

丁度いい温度のお湯を浴び、躰の力が緩んできた。


キモチイイ。

先ほどまで感じた気持ちよさとは違うけど…

そう思っていたらシャワーは止まって、あの人が私の頭を洗い始めた。

指先が頭皮に触れ、10本の指が私に快感を与え始める。


男の人に髪を洗ってもらうなんて…

いつぐらい前からしてもらっていないだろうか?

長い間洗っていた子どもの髪を洗わなくなって数年。

自分の事を自分でするのは当たり前の事だが、

こんなふうに甘やかされることはなかった…


泡立つ頭に心地良さを感じ、あの人のなすがままになる。

再びシャワーが頭から降ってきて…

泡を綺麗に流し、今度はコンディショナーを付けたのだろうか?

それをもう一度シャワーで流して、長い髪をタオルでまとめられる。


この流れだと次は…

躰。

そう思ったとたんに躰がまた強張った。
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