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そのキスの代償は……
第13章 その変化
そのまま本当にただ躰と髪を隅々まで撫でまわされ洗われただけで…

その場に放置され、あの人は手早く自分の躰と髪を洗って

シャワーを浴びた後、静かに振り向きもせず浴室を出て行った。


ベッドで抱き上げられた時は、またなのかと高揚した気持ちは萎み、

ただ丁寧に扱われただけで、

躰で奉仕することをお金で買われた身にもかかわらず…

何もできず、されなかった。そのことが口惜しくて、悔しい。

思い違いをしたのは、そう私だけ…

膝を擦り合わせると、触れられただけで欲情を吐露した蜜口に

ドロッと粘つく蜜が再び纏わりついた。


「ふぅ~」

大きく長いため息が零れる。

激しく強引に求められることでしか、

自分の存在価値を感じることができないなんて…

なんて哀しいの?

手を伸ばしてヘッドを外し、わざとシャワーの温度を下げた。

勘違いして火照った躰に、体温より少し冷たい水を浴びせ理性を取り戻す。

それから一度立ち上がり、湯の張られたバスタブにゆっくりと沈んだ。


目を閉じ、湯に躰を委ねる。

何度も情熱的に抱かれても…

どこかで所詮と醒めてしまっている自分。

演じなきゃと躍起になりながらも翻弄されてしまう躰。

今までに知らなかった快感に目の覚める思いができても…

それなのに、何かが足りない。
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