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そのキスの代償は……
第13章 その変化
ふわふわのバスタオルが頭上を超え、

肩にかかって全躰(ぜんしん)を包みこむ。


どうしてそこで待っているのか…

一体この人が何をしたいのか…

もう、どうしていいのかわからない。

タオルの上から両腕が回り優しく抱擁され、

首筋にちゅっとリップ音を響かせ触れるだけのキスを落とされる。


「こんなふうに扱われるのは嫌か?」

あの人が放つ躰の匂いに包まれたまま…

首を横に振った。

嫌じゃない。心地いい…

でも、どうして抱かないのか…

今までの貪るような劣情の行為を思い出すと、それが不思議でならない。

抱擁を解かれ、掌でバスタオルを滑らせながら動かし、

私の躰の水滴を取り始めた…


「女は…

躰で堪能し、指で感じ、瞳で愛でるモノ。

いつもヤッてばかりじゃ情緒もへったくれもあったもんじゃない。

ヤルだけならそれを生業(なりわい)にするところで充分だろう…

俺はもうそういうのには…

厭きた」

どんな顔をして、そんなことを口にするのだろう…

躰を撫でまわされながら視線をゆっくりとあの人の顔に移すと、

少し口角の上がった穏やかな顔で、静かに私の躰を拭いていた。


どうしてあの日を境に目覚めても部屋にいるのか…

そして私をこんなふうに扱うのか…
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