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そのキスの代償は……
第14章 そのひと時
子どもたちが寝静まり、自分一人の時間ができた時、

また私の思考回路は、いつもの物思いに戻ってくる。


目の前にはいつものようにデスクの上にパソコン。

でも日中予定外の事態にことのほかハードだったから

夜まで勉強する気になれなくって…

寝る前たまに読むことのある小説を手に取った。


パッピーエンドと分かっていても…

私をリアルとは違う世界に連れて行ってくれるからこの手の本は好き。

この前読み始め少しで眠くなって挟んだしおりのところをめくり、

ベッドにうつ伏せになって読み進める。


職場で出会い、仕事を共にするにつれてお互いの信頼関係が深まっていく。

その後ヒロインに降りかかる困難…

お互いがお互いを想い合っているにもかかわらず、

擦れ違いと誤解で引き裂かれてしまう。

厳しい環境に耐えしのぐ痛々しい姿に自分を重ねて…

気が付けば涙が瞳から零れ、流れていた。


涙で前が霞み文字が見えない…

本を閉じ瞼を伏せて涙を堪える。


私も…

あの人と仕事をするのは楽しい。

仕事のパートナーとしてはお互いに相思相愛で申し分ないと思う。

でも…

でもこのままずるずるとあの人の呼び出しに応じ続け、躰を重ね

お金をもらう日々をただ送っていてもいいのだろうか?


こんなことを続けて私は何を得るのだろうか?
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