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そのキスの代償は……
第14章 そのひと時
もう、なるようにしかならない。

ここまで踏み込んだんだから、流れに身を任せるだけ…


結局のところ今の状況は誰かに押し付けられたことではない。

何かで脅迫されたわけでも、勝手にサインされたわけでもない。

全ては自らが選んだことで…

自分で決めたことだから…

悲観することは度々あっても…

それでも後悔だけはしたくなかった。


日常生活と、それからかけ離れた世界を持っている自分。

あの人に触れられることに、

あの人と交わることに、この躰が悦びを感じるのだから、

私はこのままあの人に抱かれ続ける。

その快感を享受し続ける。


それでも終わりはそう遠くない明日に来るのだろうから…

自分から辞めることなんてできない。

自分からその快感を手放すことなんて…

無理。ただそれだけの事。


いつか終わりが来て、スマートに別れるふりをして

しばらくはボロボロになるだろうけど…

いつかそんなこともあったのよと、

時間が過ぎれば目を細めてほほえむことが

できるのではないだろうか?


この出会いがあったから私はこうなった。

誰でもいいわけではない…

こんなことすら知らないまま過ごすよりは、

女として生きる時間を許され、与えられた事実に

感謝すべきではないのではないだろうか?
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