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そのキスの代償は……
第14章 そのひと時
それから数日後、私はあの人が運転する社用車の後部座席に乗り、

打ち合わせに同行した。

以前は普通に助手席に乗っていたのだが…

あれ以来できるだけソコに座ることを避けている。


隣というだけで、以前も変に意識してしまっていたけど…

今はもうソコに乗る勇気すらない。

気にはなってももう必要以上にあの人のそばに近寄りたくない。

私たちが…

その熱が伝わる、吐息がかかる距離に近づくのは…

密室だけで充分なのだから。

躰に変な刺激を受けるだけ受け、その後しばらく苦しみたくもない…


「さすが白石さんですね。

突然のこちらの都合でお願いした仕様変更にも、

本当にスマートに対応してくださって感謝です…」


目の前のクライアントが私の作った資料を見ながら謝意を述べる。

この前のFAXは、それを伝えるモノで…

今日はその変更点についての直接会ってミーティング。

「もちろんです。

弊社ならこの程度の事は問題にならない程度の事なので、

ご心配には及びません。書類はこちらの相良が御用意したのですが

不備はございませんでしょうか?」


私はただ静かに笑みを浮かべながら

あの人がクライアントと話す様子を隣に座って伺っていた。
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