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そのキスの代償は……
第15章 エピローグ
5月はその部下の歓迎会をした。彼女は飲み会には来たが、

下の娘の体調が良くなかったのを理由に、

当日の朝、メールで泊りを断ってきた。


そんなこともあるだろう…

焦らなくってもまた機会はあると思い、

『了解。大事に…』

そのメールで逢瀬は流れた…


次の6月の飲み会、いつもと同じようにメールで連絡を取り合い、

泊まる約束をして宴会に臨んだ。

彼女はいつものように末席で気配りをする。

一瞬視線が絡んだ…

ひなの熱い眼差しに、胸が高鳴る。

その時…

高鳴る胸元で携帯が震えた。


その場でメールを開き、相手を見て一気に落ち込む。

『直接会って話したいことがあるので、

飲み会が終ったら帰ってきてください。』

今月の金も届いている。白い封筒に入った現金。

見るのも忌々しかったが…

仕方がない。


聡美の呼び出しはいつも突然だ。このタイミングに…

おそらく今夜泊まるのはわかっているはず。

いったいなんなんだ?!と思った。でも、呼び出されたら帰るしかない。


ため息が零れたが、そのまま彼女にメールをする。

『今夜は…』

誤魔化すような嘘を送信すると、

視線の先の彼女がびくっと躰を震わす。

それから…

部屋を退室した。


しばらくして『了解。そちらこそお大事に…』

胸にもやもやを抱えたまま、タクシーで自宅に帰った。
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