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そのキスの代償は……
第15章 エピローグ
彼女はドレッサーの前に立ち、髪をかきあげながら
鏡越しに見える俺にほくそ笑む。
その意地悪く見える笑みが作りものだということを…
俺は知っている。
彼女が、眠ったままの俺にすり寄って
「あなたがどうしても必要で、離れられないの…」
とつぶやいたことがある。
それなのに彼女は俺の出した条件を頑なに守り、
あんな契約を強いたにもかかわらず、
その後はずっとアイジンを演じ続けてきた。
それほど俺を愛してくれているということの証だろう…
それを知っているのは俺だけだということに優越感を感じていた。
だからこそ、俺は…
感情はいらなかったはずなのに
今更ながらこんなことになっている。
「そうだよな。俺たちの繋がりは躰…」
俺は彼女にゆっくりと近づいていった。
彼女は俺を鏡越しに…
見つめる。
その強い視線に、何かがこぼれそうになるのを懸命に押しとどめる。
俺が彼女にしてやれること。
それはひなを抱くことと、この虚構を一緒に演じてやること。
「お互いに足りない欠片(ピース)を埋めあっていただけよ…」
意地っ張りな彼女の言葉。
俺は濡れたひなの肌を後ろから抱きしめて
その匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
あんな契約までさせるほどに、彼女に執着し、
彼女を切れなくなりここまできてしまった。
溺れていたのは…
ひなではなく俺の方だ。
鏡越しに見える俺にほくそ笑む。
その意地悪く見える笑みが作りものだということを…
俺は知っている。
彼女が、眠ったままの俺にすり寄って
「あなたがどうしても必要で、離れられないの…」
とつぶやいたことがある。
それなのに彼女は俺の出した条件を頑なに守り、
あんな契約を強いたにもかかわらず、
その後はずっとアイジンを演じ続けてきた。
それほど俺を愛してくれているということの証だろう…
それを知っているのは俺だけだということに優越感を感じていた。
だからこそ、俺は…
感情はいらなかったはずなのに
今更ながらこんなことになっている。
「そうだよな。俺たちの繋がりは躰…」
俺は彼女にゆっくりと近づいていった。
彼女は俺を鏡越しに…
見つめる。
その強い視線に、何かがこぼれそうになるのを懸命に押しとどめる。
俺が彼女にしてやれること。
それはひなを抱くことと、この虚構を一緒に演じてやること。
「お互いに足りない欠片(ピース)を埋めあっていただけよ…」
意地っ張りな彼女の言葉。
俺は濡れたひなの肌を後ろから抱きしめて
その匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
あんな契約までさせるほどに、彼女に執着し、
彼女を切れなくなりここまできてしまった。
溺れていたのは…
ひなではなく俺の方だ。