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そのキスの代償は……
第1章 プロローグ
その声にはっとしたが、意を決してバッグを肩にかけた。
「すみません。ここで降ります…」
そう言ったものの、酔って思うように動けない。
「お客様?大丈夫ですか?」
優しい運転手の声に焦るのをやめて、一度深呼吸をした。
それからタクシーチケットを運転手に渡す。
「ごめんなさい。これお願いします…」
もう引き返せない…
私はあの人の後を無心で追い始めた。
必死に走っても、酔った足は思うように出ない。
もどかしい…
何か言わなきゃ…
「今夜限りでいいから…」
いつまでたっても追い付けない私は思わずそう叫んでいた。
あたりは静かで、自分の声が耳に響き渡る。
すると…
後ろ姿が止まった。こちらに振り向いて大股でずかずかとやってくる。
そばまで来ると、その目は見開いていた…
「何があったんだ?」
私を上から下まで舐めるように見ながら、かすれた太い声で尋ねる。
「やっと、私…
だから…」
震えて言葉がまともに紡げない。
「お前、そういう意味でいってるんだろうな?」
「…はい」
「自分の言っていることが本当にわかっているのか?」
私はそれ以上声が出ずただ頷いた。
しばらく向かい合ったまま沈黙。
「わかった…
ついてこい」
あの人は建物に向かい再び歩き始める。
私はうつむいたままその後をついて行った。
「すみません。ここで降ります…」
そう言ったものの、酔って思うように動けない。
「お客様?大丈夫ですか?」
優しい運転手の声に焦るのをやめて、一度深呼吸をした。
それからタクシーチケットを運転手に渡す。
「ごめんなさい。これお願いします…」
もう引き返せない…
私はあの人の後を無心で追い始めた。
必死に走っても、酔った足は思うように出ない。
もどかしい…
何か言わなきゃ…
「今夜限りでいいから…」
いつまでたっても追い付けない私は思わずそう叫んでいた。
あたりは静かで、自分の声が耳に響き渡る。
すると…
後ろ姿が止まった。こちらに振り向いて大股でずかずかとやってくる。
そばまで来ると、その目は見開いていた…
「何があったんだ?」
私を上から下まで舐めるように見ながら、かすれた太い声で尋ねる。
「やっと、私…
だから…」
震えて言葉がまともに紡げない。
「お前、そういう意味でいってるんだろうな?」
「…はい」
「自分の言っていることが本当にわかっているのか?」
私はそれ以上声が出ずただ頷いた。
しばらく向かい合ったまま沈黙。
「わかった…
ついてこい」
あの人は建物に向かい再び歩き始める。
私はうつむいたままその後をついて行った。