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そのキスの代償は……
第2章 その想い
夫が出て行ってからしばらくは安堵する日々を送っていたが、

それも数か月が過ぎる頃、まずは一人で娘達を育てることを覚悟した。

もう帰って来なくてもいい。

あんな夫いらないと、殴られながらそう思っていたから…


それなのに…

夫はしばらく消えていただけで、家に舞い戻ってきてしまった…

そして、それは月に一度週末のことで、数回続いた…



いつ来るかわからない悪魔に、怯えながら暮らす週末。

その週末来たら、翌月までは来なかったから、

油断してはいけないと思いながらも、少しだけほっとしていた。

でも月を跨ぐと緊張感がいやがおうにも高まる…


ただ、帰って来なくなった時よりも、この時期ははるかに辛かった。

もしかして子ども達にその矛先が行くかもしれないことも、

私が暴力を受ける姿を子どもに見せなければならないことも、

嫌だった。


自分だけならまだしも、守るべきものがあるというのは

人生の支えであると同時に、重荷にもなる。

それでも、私はこの娘達を捨てる事なんてできない。

結婚当初は専業主婦だった母ですら頑張って育ててくれた。

私が娘達を放棄してしまったら、彼女達はどうやって生きていくのだろう?

この娘達は何を信じて生きていけばいいのだろうか?

せめて、せめて私だけでもこの娘達の親であろう。

母が私達姉妹にとってそうであったように…
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