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そのキスの代償は……
第3章 その情事
愛なんて感情がないとしても…

セックスはできる。


その交わりで女は…

濡れて感じることができる。


感じる所に刺激さえ受ければ、もちろん何度でもイクことが…

できた。

その気持ちよさは…

言葉ではうまく表現できないほどの快感だった。


でもそれは、同時に多くの辛い気持ちと、虚しさも連れてくる。

躰は交わっているのに、心だけが置き去りにされるのは…

キツイ。

でも、それでも…

私はこの人が…

この快感が欲しかった。


「今更理性なんていらないだろう?何度でもイッてしまえ」


その言葉に目を見開くと飛び込んできたのは右眉が上がったあの人の顔。

それが合図だったかのように、私の躰の中心に自分の存在を刻みこむ。

その滑らかな動きの舌で、あの人が蕾に絶え間ない刺激を与える。

その刺激は、躰の…

心の全てを翻弄した。


「あぁあ~~~」

宙に手を伸ばして何かにしがみつきながら、

経験したことない甘美な苦痛にただただ耐える。

開かれた股の間にあの人の躰がねじ込まれ、

舌の刺激に、瞼を閉じても火花がちらちら見えた。


私はとうとう訳も分からない言葉を発し、声の限り叫び続けた。

「防音だから安心していくらでも啼け」

躰の汗腺から一気に汗が吹き出して…

流れる雫を拭う余裕もないほどの気持ちよさに、目の前があやふやに霞む。
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