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そのキスの代償は……
第3章 その情事
真っ白な世界に飛び込めば、そこにあるのはただ突き抜けるように
気持ちイイという事実だけ。
目の前の右眉を上げた男が妻帯者で自分の上司であることも、
快感に溺れる不道徳な女である私が、愛して結婚した夫に捨てられ蔑まれ、
暴力を受けて離婚したシングルマザーであることも、
この肉体関係が不倫だというリアルもすべて脳裏から消し飛んだ。
それでも所詮全てを忘れて溺れるように堕ちることが許されているのは
この世界から隔絶された暗闇の中だけで…
ほんの一夜の事だということは変わらない。
どんなに抱いてはいけない感情をごまかして、
悪ぶってみても所詮私は私自身で何も変わらないし、
変わる事ができない…
この関係が何も生み出さないし、それで何かが叶うこともないと、
全てわかっていた。
今までは真面目に地味に生きてきた。
そうやって静かに平凡に生きてきたはずだった…
私の理性はどこにいってしまったんだろう…
私のこの胸に秘めた恋心はどこに向かっているんだろう…
時折今の生活も、仕事も、しがらみも、娘達も何もかも捨て去って、
ただあの人と添い遂げられたら…
あの人とどこかに逃げられたら…
なんて無理なことを思うときがある。
気持ちイイという事実だけ。
目の前の右眉を上げた男が妻帯者で自分の上司であることも、
快感に溺れる不道徳な女である私が、愛して結婚した夫に捨てられ蔑まれ、
暴力を受けて離婚したシングルマザーであることも、
この肉体関係が不倫だというリアルもすべて脳裏から消し飛んだ。
それでも所詮全てを忘れて溺れるように堕ちることが許されているのは
この世界から隔絶された暗闇の中だけで…
ほんの一夜の事だということは変わらない。
どんなに抱いてはいけない感情をごまかして、
悪ぶってみても所詮私は私自身で何も変わらないし、
変わる事ができない…
この関係が何も生み出さないし、それで何かが叶うこともないと、
全てわかっていた。
今までは真面目に地味に生きてきた。
そうやって静かに平凡に生きてきたはずだった…
私の理性はどこにいってしまったんだろう…
私のこの胸に秘めた恋心はどこに向かっているんだろう…
時折今の生活も、仕事も、しがらみも、娘達も何もかも捨て去って、
ただあの人と添い遂げられたら…
あの人とどこかに逃げられたら…
なんて無理なことを思うときがある。