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そのキスの代償は……
第4章 その事後
フロントの前を素知らぬ顔で通り抜け、ホテルの外に出た。

眩しい太陽が降り注ぐ。手にはあの人がくれた1万円。

でもそれを使う気にはなれなくて…

半分に折ったまま大切なもののように

スケジュール帳の後ろの方に無造作に挟む。

それから私は顔を上げまっすぐに前を向き歩きはじめた。


ホテルは駅近くだが、少し奥まったところにあった。

いくつか路地を曲がると、小さな雑貨を扱ったショップが目に飛び込む。

店先に並べられた、ヘアアクセの可愛さについ足が止まった。

目で全体の色合いを眺めてから、一つずつに目をやる。


優奈に似あうかしら…


ゴムにピン止めにバレッタにシュシュ。

女の子はこういうものをたくさん持っている。

いくつ持っていても、その日の気分で、その日の洋服に合わせて

色々楽しめる。


つい何を見ても聞いても、娘たちの事を思ってしまう…

考えてしまう…


気になった1つを手に取ってみた。

その横に色違いのものも見つけて、両方を右の掌に乗せる。

星と花をモチーフにしたバレッタで、花の色が水色とピンク。


欲しいな…

そう思いその2つを掌に握って、他の商品を見た。
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