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そのキスの代償は……
第1章 プロローグ
次の瞬間背中を固いドアに預けたまま視界が急に下がって崩れ落ちた。

膝を立てしゃがみ込むと、スカートがまくりあがってはだけ、

腿の上にぐちゃぐちゃになる。

恥ずかしい格好にもかかわらず動けなかった…

「感じやすいな」

あの人はそれだけ言うと右眉をくいっと上げ

冷笑しながらかがんで私の上着のボタンに手をかける。


1つ、2つ、3つ…

その間も躰を視姦され続け、下腹部の何とも言えない違和感は

治まることもなく…

ブラウスをスカートに入れたままグイッと前を開かれ、

脇から挿し込まれる手慣れた指先でブラのホックを外される。

掌が背中から抜け、締め付けがスッと解放された途端に

素早く肌の上にあった布がずり上げられた。


空気に晒される膨らみ。硬くなる蕾に寒さが刺さる。

『触れて…』

私の心の声は置き去りのまま、あの人はただ晒された肌を、胸を…

じっと射抜くように見るだけだった。


その瞳を見ていると…

それだけで下腹部にドロドロっと溢れる感覚がした。

「『はやく…』」

躰の欲求が溢れそうになる。

「いい眺めだからしばらくそのままでいろ」

目が黒い光を宿し口角が上がる。

あの人は立ち上がり腕を組んで見下ろす。

少し伏し目がちな瞳の中に、まるで凌辱後のような姿の私が映り込む。


触れられないことに…

だた見つめられることに…

感じた。
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