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そのキスの代償は……
第4章 その事後
コトっと小さな音を立てデスクにカップを降ろす。


「相良君おはよう」

あの人の視線はいつものように画面に向いたまま、

気のない朝の挨拶を口にする。


この人は、どうしていつもと変わらないのか…

あんなことがあった週明けでもどうして平然と仕事ができるのだろうか…


理解できない私は、かける言葉もないままあの人に背中を向けた。

振り向きざま入り口に人影が見えた。


「おはようございます…」

とりあえず挨拶をしながら、

そのままその人の横をすり抜けて給湯室に戻った…


そう、今はとりあえず今来た人の飲み物を用意しなくっちゃ…

やるべきことに集中すべきなのに、つい思考は別の世界に向かう。


次の夜は…

いつ来るのだろうか?

もう来ないのかもしれない…

飲み会の夜かもしれないけど、

でもメールがないかもしれない。


それでも、先の見えない次の夜を…

指折り数えて待つしかないのだろうか?


一緒の夜を過ごした後だからなのか、

今朝はいらないことを色々と考えてしまう。

そう、そんなこと考えても仕方がないのに…


給湯室にたどりつきドアを開けトレーを置くと一気に脱力して

ため息が零れた。
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