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そのキスの代償は……
第4章 その事後
「相良君?」
「はい…」
私はトレーを手に立ったまま目を見開き、振り向いて課長を見る。
ドアが全部開きそこに立っていたのは、あの人ではなくて…
課長は課長でも、遠藤課長の方だった。
掌の上では黒い液体が波打ち、私の心のざわめきのように
ゆらゆらと小さくはあるが確実に揺れ動いていた。
何を勘違いしているのだろう…
何を期待してしまったのだろう…
こうやって全ての事を過敏に受け取って、
全ての事に過剰に反応してしまう自分に…
まだ週明けの朝なのにどっと疲れが溢れそうになる。
課長は、そんな私の様子を色っぽい視線で眺めながら、
少しの間何も言わなかった。
「…わざとじゃなかったんだが…
そんなに驚かせてしまったかな?
もう大丈夫?」
私は無言で頷く。
「…申し訳ないが、応接室にコーヒー2つと、
いつものヤツをお願いできるだろうか?」
「はい。大丈夫です。すぐ用意してお持ちします…」
それだけ確認するとこちらに背を向けた。
何事もなかったように静かにドアノブに手をかけ給湯室を出て行く。
今朝遠藤課長の姿がデスクに見えなかったから、
朝から来客だったのだろう。
何も気づいてはいないだろうけど…
たぶん気を使わせてしまった。
私はトレーをテーブルに置き、深呼吸をした。
「はい…」
私はトレーを手に立ったまま目を見開き、振り向いて課長を見る。
ドアが全部開きそこに立っていたのは、あの人ではなくて…
課長は課長でも、遠藤課長の方だった。
掌の上では黒い液体が波打ち、私の心のざわめきのように
ゆらゆらと小さくはあるが確実に揺れ動いていた。
何を勘違いしているのだろう…
何を期待してしまったのだろう…
こうやって全ての事を過敏に受け取って、
全ての事に過剰に反応してしまう自分に…
まだ週明けの朝なのにどっと疲れが溢れそうになる。
課長は、そんな私の様子を色っぽい視線で眺めながら、
少しの間何も言わなかった。
「…わざとじゃなかったんだが…
そんなに驚かせてしまったかな?
もう大丈夫?」
私は無言で頷く。
「…申し訳ないが、応接室にコーヒー2つと、
いつものヤツをお願いできるだろうか?」
「はい。大丈夫です。すぐ用意してお持ちします…」
それだけ確認するとこちらに背を向けた。
何事もなかったように静かにドアノブに手をかけ給湯室を出て行く。
今朝遠藤課長の姿がデスクに見えなかったから、
朝から来客だったのだろう。
何も気づいてはいないだろうけど…
たぶん気を使わせてしまった。
私はトレーをテーブルに置き、深呼吸をした。