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第5章 その心

小さなデスクに向かってゆったりと座り、手もとだけ明かりを付ける。

ノートパソコンを開き、ログインする。

それから本棚に手を伸ばして、仕事関係の本を取った。

本を読んでいてわからない単語はネットで調べる。

私の仕事の勉強はそんなスタイルで進めていた。


美奈が小学校に入ってしばらくしてから、

やっとこういう時間を持つことができるようになった…

私の職場は男性がほとんどの専門職。

それも年々勉強しながらやっていかないと続けることのできない仕事。

今日も結局わからないことが出てきて、

それをとりあえず残したまま仕事を終えた。


新しい案件は、調べては進み、立ち止まっては調べの繰り返し。

だからまるで高校の時のように常に予習復習しないと、

次の日の仕事が先に進まない。


今まではこういう案件を任されることもなかった。

もしも打診されても、続けることができなかったので

引き受けなかっただろう…

でもこの年齢で新しいことにチャレンジするチャンスを与えられたことは

嬉しいことだし、実際にやりがいも感じている。


もっと知りたい。幅広くできることを増やしていきたい。

そう思う欲も出てきて、それを可能にする環境も

こうやって少しずつではあるが整ってきた。