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そのキスの代償は……
第5章 その心
それに私の場合は、自身の気持ちがどうであれ、
生き延びるただそれだけのために
これを続けるしか選択肢がなかったのが、ここ10年のこと。
掴んだはずのささやかな幸せが、徐々に…
時には一気に転がるように崩れていく最中で、
懸命に仕事をすることで何かにすがっていた。
それでしか、自分を肯定することができなかったから…
今、あの頃を考えると、遥かに穏やかに落ち着いて暮らせている。
そう、ここまで至るには本当に大変だったから…
幼いころから、片親で働くしかない母を見て育った。
実際に寂しい思いもしたし、悔しいことや辛いこともあった。
女に生まれたのだから…
将来は結婚して、家族の為に専業主婦になるのが
私の子供の頃の夢の1つだった。
それは自分がしてもらえなかったことを、
自分の子どもにはしてあげたかったからだ。
だからこそ、慎重だったはずの伴侶選びも、
やはり若さゆえの盲目さがあったのだろうか…
結局はこの有り様で…
自分の馬鹿さ加減に涙すら出ない。
そんな追い込まれてただ没頭して出した結果が、
今の自分の姿なら…
一人前の仕事ができる女になった私の姿は、
どれほど虚しいことなんだろうと。
生き延びるただそれだけのために
これを続けるしか選択肢がなかったのが、ここ10年のこと。
掴んだはずのささやかな幸せが、徐々に…
時には一気に転がるように崩れていく最中で、
懸命に仕事をすることで何かにすがっていた。
それでしか、自分を肯定することができなかったから…
今、あの頃を考えると、遥かに穏やかに落ち着いて暮らせている。
そう、ここまで至るには本当に大変だったから…
幼いころから、片親で働くしかない母を見て育った。
実際に寂しい思いもしたし、悔しいことや辛いこともあった。
女に生まれたのだから…
将来は結婚して、家族の為に専業主婦になるのが
私の子供の頃の夢の1つだった。
それは自分がしてもらえなかったことを、
自分の子どもにはしてあげたかったからだ。
だからこそ、慎重だったはずの伴侶選びも、
やはり若さゆえの盲目さがあったのだろうか…
結局はこの有り様で…
自分の馬鹿さ加減に涙すら出ない。
そんな追い込まれてただ没頭して出した結果が、
今の自分の姿なら…
一人前の仕事ができる女になった私の姿は、
どれほど虚しいことなんだろうと。