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そのキスの代償は……
第5章 その心
その次の飲み会のときは…

本当にごたごたと色々あった。


前日、それまでのように確認のメールをして、

『了解』と味気のない返信があった。


それでも、明日の夜は久々に会える…

躰がその快感を思い出してぞわっとする。

年甲斐もなく期待に胸が高鳴った。


その日は俺だけ取引先と接待があり、彼女たち同僚とは別だった。

それもすべて終わらせて、相手をタクシーに乗せ、

頭を下げたとたんにポケットの携帯が震えた。


初めて一緒じゃないところから落ち合うことに…

なんとなく不安があった。


何かあったのかもしれない…

言い知れないもやもやを飲み込んで

携帯を取り出して画面に指を触れた。

そして、その画面を見たとたんに固まる。


ああ…

そうか。そうだったな。

たぶんもうじきそんな時期だったからだろう…

普段は感じることない自分を縛る棘の鎖が、

突然現れてじわじわと心を締め付ける。


でも、よりによって今週じゃなくてもいいだろうに…

思い通りにならないわが身を呪い、恨めしい気持ちでメールを開くと、


『そのままタクシーでこちらにお帰りください。

家でお待ちしております』

と予想できるような内容だった。

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