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そのキスの代償は……
第5章 その心
急遽、娘の誕生日を祝う食事会のため呼び戻され、

忌々しいメール1つで、貴重な夜をドタキャンした。


それでも彼女は、翌朝『了解』とだけ返信してきた。

昨夜は気が付かなかったのか?なぜ怒らない?

何があっても了解なのか??


その文字の裏が全く読めず…

目の前の娘に微笑みかけ、この屋敷で過ごす苦痛に耐えながら、

こちらが主導権を握っているはずなのに不安ばかりが募った。


それでも週明け職場で会えば、別にそっけないこともなく、

とくには変わらない様子の彼女に少しだけ胸をなでおろした。


そんなひどいことをするしかなかった次の機会が巡ってきた夜、

いつものようにメールを送ると、『了解』の返信。

変わらないことに胸が暖かくなった。


俺はその夜、事前に買い求めたアクセサリーを手に

足早にホテルに向かった。

今夜もお互いに別で、彼女のほうが先に行っているはずだった。

また会えないかもしれない…

一抹の不安を振り払う。

全裸の彼女の手首を軽く縛ってこれだけを身につけさせる。

焦らしながら遠くから眺めることができたら…

どんなに興奮するだろうか?

俺の所有物だという印をつけて、艶やかに乱れる彼女を見てみたかった。
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