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一度くらい夢を見たら
第1章 楽しみ・・
この本屋は広くていい。
棚と棚の間隔も広いし、本の種類も豊富。
近所の小さな本屋ではおいていない、
目当ての雑誌もちゃんとある。
わざわざ電車に乗って
一駅隣からやってくる価値がある。
平済みされている小説雑誌のコーナーで、
手に取ったのは
「月刊 官能」という小説雑誌。
タイトル通り、中身は
官能小説ばかり。
文字だけではない。
写真もある。
今どきのこのての雑誌には、とてもじゃないけど
おおっぴらに広げられないような
卑猥な写真ページもある。
今どき、と言ったが、
昔を知っているわけではない。
もしかしたら昔っからあったのかもしれない。
ただ昔はこんな雑誌を手に取ったりしなかった、
それだけの話だ。
浴衣のあわせをはだけて
大きく足をひろげるまあまあ若い女。
下着を着けていないから
もろに密林が見せつけられている。
・・いやだ、すっごい!・・
見ていると自分の泉もじんわりと温かくなってくる。
女の体がそれ用に反応し、次の段階へとむかっていく準備、
それと同じ状態になっていく。
・・女なのに・・こんなの見て濡れちゃうの?・・
美奈枝は口に溜まった唾液をのみこんだ。
隣りで別の同類雑誌を立ち読みしているオヤジが
こちらを振り向いたのが横目に映る。
やましい気持ちを悟られたような気がして、
わざと大げさにページをめくり小説のところで止める。
たまたま開いたのは
「イケない人妻」という題名の小説だった。
出だしの2行読んですぐに全体が見えた。
要するに、人妻が隣の旦那と浮気する、という話。
・・浮気か・・あたしもしてみたい・・
しばし雑誌を開き持ったまま、
ページのそのむこうの
妄想のスクリーンに思いをはせた。