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ナツキとあの場所で
第6章 二人きり屋根の下
「ああ、これ去年福井へ旅行行った時に買ってもらったんよ。」
「へぇ~」
本物の真珠ではなさそうだけどそれでも綺麗に反射していり。
「これ、学校には付けて行かんの?」
「落としたりしたら嫌だしねぇ・・・」
「そっか~」
夏生は物を大切に扱う。
座っていたすぐ後ろで背もたれに手を付き僕の顔のすぐ横に近づけてくるので、
シャンプーが頭皮の熱に乗って独特の良い匂いがしてくる。
5cm近づけばほっぺがくっつきそうだ。
家に入った時から夏生はリラックスしてるし
もしかして今日の目的を忘れているのでは?と思っていたが
夏生のこのわずかな積極性から約束を忘れてはいないというのは伝わってきた。
この間、少しばかり長く続くお互いの無言。
アブラゼミの鳴き声だけが二人の耳に届く。
体温と匂いだけで異性が隣に居ることを毎秒ごとに認識してるというような感じで
感覚器官としても稀な体験。