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やさしいキスをして?
第10章 番外編


『そんなこと、お前には…』

『どっちなんだよ、ハッキリしろ。』


こんな岩本の顔は初めて見た気がする。いつものおちゃらけた感じも、サッカーやってる時の真剣な感じも、どれも違う。どちらにせよ、話をしないと動かないつもりだな。一つ大きく息をついて、僕は岩本に向き直った。


『僕はもう───失恋してる。』

『…なんだと?』

『不戦敗だ。彼女のことは、諦めるよ…』

君は怒鳴って引き止めるだろうか?だけど無駄だ。僕には、園山さんを振り向かせる自信なんて…

『……そうかよ。』


キーンコーン カーンコーン…


『行こうぜ。』


チャイムの鳴る中、岩本はゆっくりと僕を追い越して歩いて行った。



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