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やさしいキスをして?
第10章 番外編


『岩本…?』

『モタモタすんな…つってももう、遅刻だけどな。』

『待てよ!何で何も言わない?!』


予想に反した岩本の行動は、僕を不安にさせた。肩を掴んで振り向かせると、岩本の表情は冷静そのものに見えた。


『なんだ…引き止めて欲しかったのか?』

『な…』

『それとも、同情が良かったか?またいい出会いがあるだろう、元気出せ、ってよ。』

『ふ…ふざけるなよ!お前が無理やり聞いてきたことだろう?!興味がないなら、何でしつこく聞いてきたんだ!』


もはや僕の頭に遅刻のことなんてなかった。岩本の胸ぐらを掴んで、怒りの感情をぶつけていた。





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