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やさしいキスをして?
第10章 番外編
『ケンカ。何が原因かおれは知らないけど…ちゃんと仲直りできると思うよ。だって二人は、一番大事なこと…隠したままだからさ』
『………?』
穏やかな顔つきのゆうひくんが茜色に照らされる。少しずつ背後で染まっていく空は、まばゆく輝いて。みるみる私達を包んでいく。
『本心を口に出すのは、誰だって勇気がいる。大事な想いほど、守りたくて隠したくもなる。だけど…ずっと隠したままじゃ、それは気持ちがないのと同じだろ…?』
風が舞う。頬を撫でるような、緩やかで優しい風が。ゆうひくんの言葉を乗せて吹き抜ける。