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やさしいキスをして?
第10章 番外編
『えっと…何と言いますか…まどかちゃんは、キンモクセイの花みたいな存在で…//』
「好きな所は…
キンモクセイのような所です」
耳に蘇る、先程の言葉。それはまるで、デジャヴのようにこだまして、私の中の遠い記憶を呼び覚ます。
『中学の頃。岩本と倉田さんとまどかちゃん…三人一緒にいる所を、よく見かけました』
公園の奥側、外灯の照らすベンチに二人。辺りは心地よい静けさで、啓太くんの声がよく通る。四方を緑に囲まれたココより少し先には、賑やかな駅前の風景。規則的な列車の往来、自由に行き交う人々の様子は、私達と別の空間にあるみたい。
『まどかちゃんはいつも、一歩引いて二人を見ているような気がしてました。同じ輪の中で楽しそうだけど、どこか二人に気を遣って、出過ぎないように心掛けているというか。そんな風に僕の目には映っていて。』