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やさしいキスをして?
第11章 おまけ〈三島〉
『じゃあ…行かないでよ!』
電気もつけない夜の教室。外灯の明かりだけで手元は見えるけど…俯く川口さんの表情は、よく見えない。
『なんで…あんな子なの?』
『え…?』
『あんなキラキラして!誰からも一目置かれるような女の子…どうして三島くんが、好きになっちゃうのよ!』
何だ、急に…?昼間もそうだったが、彼女が大声で叫ぶ所は見た事がないのに。
『川口さん、どうし…』
『何でなの…?!あたし以外の女子は苦手だって、昔言ってたよね?なのに、突然あんな可愛い彼女作っちゃうなんて!…こっちはもう、どうにも出来ないじゃない!あたしが…あたしが今まで、どんな気持ちで──!』
ビッターン!!
『川口さん!』
『〜〜〜〜////!』
暗がりの中。机に足を引っ掛けたらしい川口さんが、派手にコケてしまった。
『大丈夫…?』
思わず差し出した右手。それに掴まった川口さんの手を握りしめて、僕はハッとした。