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やさしいキスをして?
第12章 おまけ〈マドカ〉


残り一分を切ると、にわかにカウントダウンが唱和され始めた。


『ねぇ…!』

『えっ、なんですか?!』


一層激しさを増した辺りの喧騒に、もはや会話もままならない。そんな時────


『あっ!いたっっ!!』


人垣の中にチラリと。ゆうひくんの姿を見つけた。


『啓太くんいたっ!あそこ!ゆうひくーん!!』


見えたのは、背の高いゆうひくんの方だけ。あさひも側にいるはずだけど、埋れちゃってるんだ。早く合流しなきゃ!私はいっぱいいっぱい手を伸ばし声をあげた。カウントは残り10を切る。


9!8!7!…


『ゆうひくーーん!!こっちーー!!』


5!4!…


『ゆーひく……ッ!?』


ふわり


視界が闇と化した。



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