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やさしいキスをして?
第14章 おまけ〈マドカ②〉
『夜の山は結構冷えるって言うけど、本当にそうだね。啓太くんも私みたいに油断して、風邪ひかないでね?』
『…………』
見上げた啓太くんの顔は、目が合うとすぐに逸れて。
『ああのっ…飲み物取ってくる…!』
あっという間にパタンと、扉が閉まってしまった。
(気を遣わせちゃったかな…?)
啓太くんのことだから、きっと温かい飲み物を持って来てくれるんだろう。とりあえず居場所を探して、椅子に腰掛けてみる。
(…綺麗な字……)
開いたままの、啓太くんのノート。ペンを持ってみたら、まだほんのりと暖かみが残っていた。
(偉いなぁ…遊びに来てても、勉強は怠らないんだもん。)
高校の頃、サッカー部で頑張っていた時のように。今、啓太くんが一生懸命になっていることは…自分の夢を叶えること。そのための勉強を、日々コツコツと積み上げている。
(そういうとこ、ほんとに素敵…)
机にうつ伏せると、カーディガンから啓太くんの匂いが香ってくる…
(抱きしめられてるみたい…いい匂い…)
あったかくて、安心するなぁ…