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雨と殻
第2章 天気雨
◇6◇
絡み合うおとな達を、幼い黒は息をつめて見ている。
見慣れない相手のおとなは、全身を波打たせている。
見慣れた産み親の背中が、大きく力強く、相手を包みこむ。
雨に溶け込む、悲しげな呼吸とうめき声。
……ううん、違う……
どちらのおとなも、悲しんでも泣いてもいない。
産み親に至っては、薄く笑っているようでさえある。
……でも、ああ、そうか
もう少しで泣きそうな、そんな顔なのだ。
涙をこらえて、叫びを抑えて、身体をしならせる。
しなる身体を抱え、ついばみながら、その胸に額を寄せる。
……どっちも、きれいだ
雨粒の銀紗の向こう、お互いを撫でまわし続ける、ふたつの身体。
……どっちも、だけど……
産み親が腰を押し出す。
貫かれた相手は、産み親の動きにぴったり合わせて、息を吐く。
産み親の腕の中、丸い肩と細い腰が、泳ぎ、踊る。
……私も……
誰かを、あれだけ美しく、踊らせてみたい。
黒がそう思った時、一段と大きな動きを最後に、おとな達は揃ってぐったりとなった。
絡み合うおとな達を、幼い黒は息をつめて見ている。
見慣れない相手のおとなは、全身を波打たせている。
見慣れた産み親の背中が、大きく力強く、相手を包みこむ。
雨に溶け込む、悲しげな呼吸とうめき声。
……ううん、違う……
どちらのおとなも、悲しんでも泣いてもいない。
産み親に至っては、薄く笑っているようでさえある。
……でも、ああ、そうか
もう少しで泣きそうな、そんな顔なのだ。
涙をこらえて、叫びを抑えて、身体をしならせる。
しなる身体を抱え、ついばみながら、その胸に額を寄せる。
……どっちも、きれいだ
雨粒の銀紗の向こう、お互いを撫でまわし続ける、ふたつの身体。
……どっちも、だけど……
産み親が腰を押し出す。
貫かれた相手は、産み親の動きにぴったり合わせて、息を吐く。
産み親の腕の中、丸い肩と細い腰が、泳ぎ、踊る。
……私も……
誰かを、あれだけ美しく、踊らせてみたい。
黒がそう思った時、一段と大きな動きを最後に、おとな達は揃ってぐったりとなった。