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雨と殻
第1章 霧雨
◇4◇
お前が産まれたとき霧雨が降っていた、と誰かが話してくれたが、正直覚えていない。
初めて誰かを抱いたときはひどい土砂降りだったと、今でも忘れられない。
深い、深い、奥の奥。
自分自身では触れたことのない、そして今後も触れることはできない、身体の奥底。
自身が触れられないそんな部分を、他者が触っている、異常事態。
それなのに。
「あっ、んゃ…も…っと」
うっとりと酔い、のけぞって喘ぐことしかできない。
……思えば不思議なことだ。
と、玉は思う。
今身体を重ねているこの同族が、もしも敵意を持っていたら。或いは何かに襲われたら。
自分は確実に喰われる。
命がけの快楽。
恐ろしい危険をともないながら、しかしあまりにも、強い快楽。
……ふと、意識が薄れた。
ゆるみかけた白い肩を、黒は自分のほうへぐっと引き上げる。
「……ぁ」
「眠い?」
「ちが…ぅあ」
起こした上半身を抱きしめ、なだらかな腹を撫であげ、首筋に噛みつく。
性器を呑み込む性器が、きゅうと縮こまる。
その奥、上方に、感触の違う箇所を見つける。
両の乳首をつまむと同時に、腰を打ち込む。
「ひぁぅッ」
しなる細い首。
「…綺麗、だな」
つぶやいて、腰を揺すり続ける。
「ぁん……な、に?」
「なんでも」
甘いしびれを感じながら、黒は水音のもとへ指を伸ばし、玉の性器をそっとまさぐる。
「やぅ、は、ぁ」
小さな芽を見つけ、ごく軽く指で弾く。
「きゃぅっ」
跳ねる細い腰を逃さないよう、自分の腰を押しあてる。
しびれが増す。
芽を、指の腹で押し伏せる。白い背中に、何度目かの痙攣が走り、性器がうねる。
「……玉」
耳元でささやき、上半身を寝かせてやる。自分は腰を一旦引き、間髪入れずに奥まで突く。
「……ぁ、はっ」
切なげな吐息。
無視して、めちゃくちゃに突き続ける。
吐息が途絶え、代わりにあがる細い悲鳴を聴きながら、黒は果てた。