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雨と殻
第2章 天気雨
◇4◇
唇の薄い肉を、軽く押し付け合っては離す。
その先を知る者にとっては、少々もどかしいくらいのくちづけ。
しかしその触れあいは、思う以上に、他者の肌と肉の柔らかさを意識させる。
期待、させられる。
ようやく舌が割り入ってきたとき、曇は思わず吐息を漏らした。
霞がほくそ笑む気配がして、鎖骨のあたりに指先が降りる。
左の鎖骨から右へ、ゆっくりと数往復。やがて真ん中のくぼみを滑り降り、両手が乳房を捕らえる。
その頃には、くちづけは、むさぼるようなものへ変わりはてていた。
乳房を捕らえた手は、くちづけの激しさとは裏腹に、穏やかに動く。
腹部とふくらみの境界に、親指の付け根をあてがったまま、他の指だけが小さく滑る。
幼子の肌でも撫でるように、そっと軽やかに。
乳首はもちろん乳輪にすら届かない、遠巻きすぎるその動きに、曇は焦れた。
「……からかっているの?」
「どうして?」
「触る気が、無いのかと」
「こんなに触っているのに?」
「そうじゃなくて……」
言いよどむ曇の肌に霞は舌を這わせ、細い軌跡を描き、首筋へと唇を移す。
片手は乳房に沿わせたまま、もう片方は背中に流れる。
「……どこかだけ、じゃなくて。全部、触りたいだけだよ」
耳許のささやきに、曇は思わず背中が震えた。
その腰骨あたりを、霞の掌が広く覆う。
体温を感じた瞬間、曇は奇妙なうずきを覚えた。
「……それは、何を、しているの?」
「触れて、暖めているんだよ」
そんなことは判っている、と曇は思いながらも言わなかった。
背を撫でられているのに、身体を挟んだ反対の性器がうずく、その理由が判らないのだ。
ただそれを問うには、愛撫に快感を覚えていると白状することになる。
目の前の個体が微笑みながら繰り返す動作を、認めるのは、どうも悔しいような気がした。
唇の薄い肉を、軽く押し付け合っては離す。
その先を知る者にとっては、少々もどかしいくらいのくちづけ。
しかしその触れあいは、思う以上に、他者の肌と肉の柔らかさを意識させる。
期待、させられる。
ようやく舌が割り入ってきたとき、曇は思わず吐息を漏らした。
霞がほくそ笑む気配がして、鎖骨のあたりに指先が降りる。
左の鎖骨から右へ、ゆっくりと数往復。やがて真ん中のくぼみを滑り降り、両手が乳房を捕らえる。
その頃には、くちづけは、むさぼるようなものへ変わりはてていた。
乳房を捕らえた手は、くちづけの激しさとは裏腹に、穏やかに動く。
腹部とふくらみの境界に、親指の付け根をあてがったまま、他の指だけが小さく滑る。
幼子の肌でも撫でるように、そっと軽やかに。
乳首はもちろん乳輪にすら届かない、遠巻きすぎるその動きに、曇は焦れた。
「……からかっているの?」
「どうして?」
「触る気が、無いのかと」
「こんなに触っているのに?」
「そうじゃなくて……」
言いよどむ曇の肌に霞は舌を這わせ、細い軌跡を描き、首筋へと唇を移す。
片手は乳房に沿わせたまま、もう片方は背中に流れる。
「……どこかだけ、じゃなくて。全部、触りたいだけだよ」
耳許のささやきに、曇は思わず背中が震えた。
その腰骨あたりを、霞の掌が広く覆う。
体温を感じた瞬間、曇は奇妙なうずきを覚えた。
「……それは、何を、しているの?」
「触れて、暖めているんだよ」
そんなことは判っている、と曇は思いながらも言わなかった。
背を撫でられているのに、身体を挟んだ反対の性器がうずく、その理由が判らないのだ。
ただそれを問うには、愛撫に快感を覚えていると白状することになる。
目の前の個体が微笑みながら繰り返す動作を、認めるのは、どうも悔しいような気がした。